クラフトマン辻永の身近にいる物作りに携わる人たちの紹介です。おもに2003年ころに書いた記事です。
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大工:船木元
(まるふく建設)



 完成した家を見ると、天井裏や壁の中や床下がどうなっているのか、素人にとってはそう簡単にはわからなくなってしまいます。でも、その見えないところが家には大切なんですよね。

 船木さんが大切にしているのも、そういう見えないところ、見えにくい所をしっかりと造ると言うことです。化粧の部分だけが見栄えがしても、中身がしっかりしていなくては良い家とは言えませんね。

 地域でとれた地場産の木材を使い、木の性質を読んで木組みをしていきます。上の写真の骨組みも、どういう方向で木を使うと強度が増すのかを考えて、木を生かすようにして組んでいくのだそうです。

 まるふく建設は、船木さんの家族で営む住宅建設の会社です。棟梁であるお父さんと、副棟梁である船木さん、そして船木さんの兄弟で家を建てています。「家族」で造る家、良いですよね。しかも、全員建築士。技能のある匠系建築士一家ですね。

 材料に、自然乾燥させた木材を使用するために、いつも次の仕事に向けた木材を準備しておき、その土地の気候の中でゆっくり乾燥させます。生木は論外ですが、人口乾燥させた木材よりも、自然乾燥させた木材の方が、木の力が生きているのだそうです。

 船木さんの建てた家にお邪魔すると、本当に気持ちが良いんです。節の多い木材も有効に利用していて、そこに作り物ではない自然の恵みを感じます。一緒に呼吸しながら、長い年月を過ごしていくことのできる家ですね。

 「家」とは何だろうと考えた時、私はある意味で道具の一つのような気がします。生活をするための大きな道具。長く使っていくために、しっかりした材料でしっかりと造られていて手入れが効くと言うのが良いですね。近年の住宅の多くは、長く住むには造りが悪いようです。耐用年数については、法律で「何年持てばいい」なんてことが決められているんですから、どうしようもありません。

 長く大切に使っていくことのできる家を建てる。当然のことのようですが、実際にはそういう良い仕事をすることが難しくなってきているのが現代です。でも、船木さんのご一家には、木と対話しながらいつまでも良い仕事を続けていただきたいものと思います。



 スマートな体つきで、屋根にも身軽に上り、狭い所にも入って作業をしてしまう船木さん。優しいまなざしで、いつも笑顔なのですが、実はラグビーをやっていて高校では日本一にもなった、ファイターなんです。馬力があるんですね。

(余談ですが、手揉みのとろとろワカメを作るのもお上手です。おいしい!)

 お父さんと、そっくりな顔立ちで、「おお、間違いなく親子だー」と心の中で私は一人つぶやいてしまいます。(失礼、ごめんなさい!)
 ちなみに、船木さんは兄弟が多いのですが、全員似てらっしゃると言ううわさです。

 私が思うに、この一家はかなり頑固です。仕事に対する考え方が半端じゃないですね。まさに職人一家という気がします。

 職人の技には、長年の歴史の中で培われてきた確たるものがあります。最近の、その場限りの浅はかな合理性など問題にならない知恵も隠されているものなんですよね。

 目先のことばかりで、時の流れの中で物事を考えることの足りない世の中ですが、長く住むことのできる家造りを考えることは、一生をどう生きるかを考えることにも通じますね。天地からの贈り物の木を使って、大地にしっかりと建つ家を造る。やりがいのある、良い仕事だと思います。

 いつか、私も自分の家を建てる時がくるとすれば、その時は、船木さん一家にぜひ家を建てていただきたいと思います。小さくても良いから、しっかりした使いやすい、私の住むための「道具」である家を、夢見ています。


 

この写真は、同系色でちょっとわかりにくいのですが、松葉の造形です。
天井の何気ない目立たないところに、こんな細工がありました。
松葉の2葉の形に夫婦をなぞらえて、
夫婦2人が末永く仲良く過ごすための縁起物だそうです。
「家族円満」 船木さんのお父さんの仕事です。
この縁起物の技と心意気は、
きっと船木さんに受け継がれていくことでしょう。

画像:船木   文章:辻永
画像に関わる権利は、まるふく建設 船木氏に帰属します。

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